私と木版画

toshi

なぜ木版画?

子供のころから絵を描くことが好きでした。学生時代にふとしたきっかけで年賀状を木版画で作り、それが友人たちに好評で、毎年の年賀状は木版画で作るようになりました。何度か経験して試行錯誤を繰り返すうちに、多色刷りや大きな作品も制作できるようになりました。棟方志功や斉藤清そして江戸時代の浮世絵版画などの本物を見ることにより、技術のみならず日本の伝統的な文化にも興味がわいて今日に至っています。

木版画への思い

サクッ、サクッと彫刻刀で彫っているときの木の音と香り、バレンで摺りあげて作品の出来を見る瞬間、自分の大好きな時間です。木版画は紙やキャンバスに直接描く絵と違って、板を通して間接的に紙に表現します。木目の方向や墨のムラ、紙の厚さ、水加減、力加減などで思いもよらない効果があらわれることがあります。この偶然が大きな魅力です。印刷技術が進んだ今、きれいで鮮明なものが世の中にあふれ、手作りの木版画は少なくなって行くものなのかもしれません。しかし、これからも伝統的な日本の技術や文化を大切に、ぬくもりのある作品を創り続けて行きます。

釧路川の風景

釧路に生まれ育ったものとして、街の中にある釧路川は特別のものです。近代的な建物に囲まれ、漁船のエンジンの音や磯の匂い、岸壁で網や機械を直している漁師たち、岩手や宮城から来る船団など春夏秋冬を通して、釧路川周辺は私の原風景のひとつです。木版画という技法を通して自分なりの風景を残して行きます。